●祓魔術(エクソシズム)

 世界三大宗教の1つであるキリスト教で行われている術。キリスト教内においては厳密には魔術ではなく「秘蹟(サクラメント)」と呼ばれる行為にあたる。聖書の言葉によって悪霊に憑かれた人の中からそれらを追い出すことが目的とされる。現実に行われる場合においては医師の案内状などが必要なことからも精神病かそうでないかを見極めることが重要視されている。

 荒廃のマギカにおいてはより体系化された技術として確立されている。日夜、戦闘時における聖句の効率的な運用など研究が進められている。

 

●死霊術(ネクロマンシー)

 死霊を用いて行われる占術の総称。悪霊や精霊を降霊させ、情報を聞き出す。世界中で様々な方法で行われてきた術であり、人体の各部位と黄道十二宮星座を相応させたものもその1つ。

 荒廃のマギカにおいては死霊を呼び出す他死体を活用する方法や自身の体に星座の入れ墨を施すなど多岐に渡る運用法が開発されている。

 

●ブードゥー教

 西アフリカ・ベナン共和国、西インド諸島・ハイチ共和国、アメリカ南部・ニューオリンズで主に崇拝されている民間信仰。教義や経典もなく、布教活動もされていない。儀式は楽器を打ち鳴らし、踊りを舞い、動物のいけにえを捧げ、神官が神懸ることで行われる。

 植民地で発展してきたことからキリスト教を表面上取り入れている。そのためブードゥー教の神がキリスト教における神や聖人の姿で描かれていることも多い。又、ドルイド教の影響もみられる。

 ブードゥーの術では「ゾンビ」が描かれることが多いが、アメリカのネガティブキャンペーンの影響が強い。

 荒廃のマギカ内においてもハイチなどを中心に信奉されている。祓魔術を行使する騎士団との諍いが絶えずある。

 

●カバラ

 ユダヤ教の創造論、終末論が基となる神秘思想。カバラは体系としてはユダヤ系とクリスチャン系の大きな2つの区分がある。前者が旧約聖書を解釈するために用いられる本来のカバラであり、後者は西洋魔術に用いられてきた。サブカルチャーなどで度々見られる「生命の樹」はクリスチャン・カバラに由来している。

 生命の樹は神を10個のセフィロートとよばれる言葉で概念化したものであり、これらの総称が神とされている。又、近代魔術思想においてはこれらをセフィロートを繋ぐ小径(パス)とタロットカードを相応させている。

 荒廃のマギカ内においては学問の面に重きを置いている。熱心なユダヤ教徒は基より他の宗教を修める魔術師も学んでいる場合が多い。

 

●ゾロアスター教

 紀元前6世紀から7世紀頃のペルシャで予言者ゾロアスターが開いた宗教。ゾロアスター教における祭司(マギ)からもわかる通り、魔術師の基とされている。

 ゾロアスター教は善悪二元論から構成されている。光、精神、善性を司る神と闇、肉体、悪性を司る神との対比があり、それらを超越した最高神アフラ・マズダーが主神とされる。ただし善性と悪性は対等でなく、善性の優位が説かれている。又、拝火教とも呼ばれる通り「火」を神聖視している。

 荒廃のマギカ内においてはイランやインドで信奉されている。日夜寺院には火が焚かれており、ゾロアスター教を起源とする妖魔との苛烈な戦いが行われている。

 

●ヒンドゥー教・ヨーガ

 インドを中心に信奉されている、多くの神から成り立つ多神教の1つ。信者数だけであれば仏教を上回るほどだが、インドに信者のほとんどがいることから世界三大宗教には入っていない。

 紀元前5世紀ごろにバラモン教とよばれる宗教が他の民間信仰を取り入れた結果生まれた。輪廻や解脱といった概念を持っている。又、カースト制度といった身分制度に代表されるように政治とも深く関わりがある。教義としては宇宙を創造した神ブラフマー、宇宙を維持する神ヴィシュヌ、宇宙の寿命が尽きた時に世界を破壊するシヴァの三柱から成り立つ。又、ヨーガはヒンドゥー教における修行の一環。心身を鍛えることにより解脱へ至ろうとする行為。

 荒廃のマギカ内においてもインドを中心に信奉されている。自身に苦行を課す修行法から世界を放浪して屈強な妖魔を退治することで解脱に至らんとするものが多い。

 

●道教・呪禁

 中国で古くは漢の時代から信奉されてきた宗教。宇宙の真理である「道(タオ)」と一体になることを目指している。修行の一環として錬丹術と呼ばれる術を用い、神仙になることが理想とされている。

 様々な要素から成り立っている。主な要素としては5つあり、清浄とよばれる思想、煉養とよばれる気の操作法、服食とよばれる製薬技術、符録と呼ばれる符札を用いた呪術、経典科教とよばれる儀礼。その他漢方薬学、鍼灸治療、房中術ともかかわりが深いとされている。

 呪禁は気を禁じることによりそのものがもつ意味を封じる呪術とされている。刃に斬ることを禁じればなまくらに、火に焼くことを禁じれば熱くなくなるという。

 荒廃のマギカ内においては中国で主に信仰されている。又、その多岐に渡る技術や呪術から国際魔術連盟でも多く用いられている。

 

●密教

  西暦7世紀後半に仏教の一派としてインドで生まれた宗教。本来は人間が体・口・意をもって仏尊と交流し、即身成仏することが目的とされているが時代にともなって現世利益の面が強調されていった。状況・環境に応じて様々な加持祈祷が存在している。非常に多様な祈祷法・呪法があるとされるが細分化すると物欲所望の法、除災与薬の法、減罪成仏の法、息災(仏力で障碍や災害を消滅する)・延命長寿の法。生産向上の法、天候自在の法、呪詛(諸仏のちからにより対象を呪う)の法に分類される。

  密教の中でもインド密教やチベット密教、日本密教と国によっても多岐に渡って派生している。

 荒廃のマギカ内では密教という呼称を主に日本密教に対して用いている。又、仏教が篤く信仰されていることから魔術師以外の一般の人々との関係も良好にある。

 

●陰陽道

  7世紀中頃、平安中期に日本で発祥した宗教。5~6世紀頃に中国より仏教や易といった占いと共に伝来した陰陽五行説に基づく。陰陽五行説とは万物を吉凶を表す陰陽、自然界を表す木火土金水の5属性で観る考え。平安中期には日本で陰陽寮という行政機関が作られ、政に深く携わっていたとされる。鬼を使役したとされる安倍晴明が有名。又、密教、道教、神道に強く影響を受けており、中には道教の呪禁を専門に取り扱う呪禁師という役職もあったとされている。

 荒廃のマギカ内においても基本的には日本国内で政を支える立場にある。膨大な知識が求められる職である反面、職業としては常に人材不足に悩まされている。一定以上の才覚が必要になってくるが就職さえすれば多額の給金と立場を手に入れられることからも陰陽師も目指す貧困層は多い。ただし苛烈な競争社会のもと成り立ち、権力もあることから一部の人によっては「お役人」と謗りを受けることもある。

 

●形意拳

 清朝末期に中国で発祥した武術。 五行説に基づく「五行拳」と五行拳から成る12の動物を模倣した「十二形拳」で構成されている。掌打は基より武器術も含んでおり、槍・棍・刀剣・暗器を用いる武器用の構えも存在している。

 荒廃のマギカ内においても武術であり宗教でも魔術でもないが武術も魔術の中に含まれる考えや、心身を鍛えることにより悟りに至らんとする考えもあることから取り入れている。又、才覚の重要視される魔術に比べて武術は学びやすいことからも人気がある。ただし妖魔を打倒するとなると命を削るかの如き鍛錬が要求される。

 

●修験道

  7世紀頃に日本で役小角(えんのおづぬ)が開いたとされる宗教。古代山岳信仰が密教、神道、陰陽道、道教、雑密呪術と合わさった結果生まれた。修験道を修める者達は山伏と言い、険しい山岳の中で自身を鍛えることにより大日如来や不動明王などの諸仏と一体化。験力(超自然的な力)を獲得して衆生を救済することが目的とされている。普段山で生活していることから古くから「天狗」という妖怪と同一視されてきた。

  荒廃のマギカ内において、山伏は日本各国の山岳を放浪して妖魔を駆逐する能動的な退魔部隊をして活動している。又、他の町との連絡手段が乏しい集落の発見や素質ある者のスカウトなど多岐にわたる。ただし他の宗教に比べて一般への露出が少ないことから「天狗」として恐れられている。

 

●神道・神楽

 古くは縄文時代に端を発する日本の宗教。民間信仰が基であり、自然に発生した考え方とされる。他の宗教と異なり正典などはない。ただし「古事記」や「日本書紀」といった書物を聖典に定めているという。

 日本で自然発生した概念であり、定まった教えもほとんどない。山や川といった自然を始めとして人が作った器物に魂が宿る、所謂万物に魂が宿る「八百万の神々」という考え。亡くなった祖霊や国造りの神を祀り崇めることで安寧を願う考えが唯一の教えともいえる。加えて祟りを為して災いを起こす霊魂であったとしても、奉ることでそこから益を預かろうとする現世主義的な側面も見られる。世界的に見ても稀な宗教といえる。

 一口に神道といっても様々な種類が存在している。神社を中心とした神社神道が一般的であり、そのほか民俗神道や古神道、教派神道といったものもある。又、古くは日本で仏教とも関わりが深く「神仏習合」といった神と仏を同一視した考えもある。

 神楽は神道における祭礼の一種。平安時代が発祥とされ、古事記にある天照大神を天岩戸から出すためにアメノウズメが踊ったことが起源とされる。神座と呼ばれる場所で神々を巫・巫女に降ろして災いを祓ったり、神と人が交流する。宮中で発展した御神楽や祭りで行われることから民間で発展した里神楽と多様な種類がある。踊りや歌の他にも神能と呼ばれる劇を行ったり、武術奉納と称して武術演技をを行ったりと多様な種類がある。

 荒廃のマギカ内においても仏教と並んで民間に即している。又、密教が各地に出現する妖魔討伐に重きを置いていることに対して、神道は祓儀式による土地の清浄化を重要視している。さらには荒御魂となった妖魔を鎮め奉ることで和御魂とし、土地を守護する土地神にさせる研究も進められている。

 

●ソロモン王の鍵

  紀元前1~5世紀に登場した「ソロモン王の遺言」を始めとしてソロモン王を起源とする様々な魔導書がある。その中でも特に人気を博したものがソロモン王の鍵(別名ソロモン王の大きな鍵)とされる。14~15世紀にかけて出版されたこの魔導書はソロモン王が書いたとされ、世界中に存在している悪霊を呼び出して使役。願望を叶えさせるというもの。サブカルチャーなどでよくみられる「ソロモン72の悪魔」については17世紀頃に出版されたレメゲトン(別名ソロモン王の小さな鍵)が基とされる。又このレメゲトンは五部によって構成されている。

 第一章「ゴエティア」は前述した72の悪魔の喚起方法について書かれている。ソロモン王がいかにして悪魔を呼び出すに行ったっ隆についても記載されているという。

 第二章「テウルギア・ゴエティア」は善悪異なる性質をもった精霊の召喚方法について。

 第三章「アルス・パウリナ」は惑星や星々を支配する精霊について書かれている。ここには善なる精霊のみが書かれているという。

 第四章「アルス・アルマデル・サロニモス」は善なる精霊と黄道十二宮を支配する精霊について書かれているという。所謂天使の召喚法について書かれているという。

 第五章「アルス・ノヴァ」は大天使ミカエルよりソロモン王が授かった知識について書かれているという。

 全五巻からなるレメゲトンについてだがしばしばゴエティアのみを指してソロモン王の小さな鍵と称されることもある。

 荒廃のマギカ内においてはソロモンの血筋からなる「血族」によって管理・運営がされている。又、悪霊を使役する傍ら天使喚起の方法も書かれているためか祓魔術を修める者達との溝は深い。 

 

●ルーン魔術

  1世紀頃にドイツ北部で発祥した「ルーン文字」を元にした魔術。4世紀以降、ゲルマン民族の移動にともなって知られるようになる。キリスト今日が広まるに連れてなりを潜めるが、14世紀には黒魔術と並んでルーン魔術の禁止令が出されるようになったという。又、この頃から文字そのものに魔力が宿り、意味を力にするという考え方が広まりだしたという。ただし古くはゲルマン民族も、ヴァイキングの人々が武器にルーン文字を刻むことでその文字の加護を得ようとしたとされていることからもその起源は古いと言える。

 又、ルーン文字はそれ単体でも力を得られるとされているがバインド、つまり複数を組み合わせて用いられることが多い。第二次世界大戦時のナチスドイツで用いられた「ハーケンクロイツ」も太陽や勝利を意味するシゲル(又はソウェイル)を2つ組み合わせられている。

  荒廃のマギカ内においては対妖魔に対して欠かせない存在となっている。他の魔術と比べ、武器への魔術的加工がしやすく近代兵器とも親和性が高い。文字の組み合わせ次第で戦略を組み替えられることからも傭兵界隈などでは特に人気をはせている。

 

●錬金術

  紀元前3世紀~後4世紀の古代エジプト・アレクサンドリアが発祥とされる学問。その後東ローマ帝国やアラビア圏に渡り、世界中へその考え方が広まった。中世の時代にはヨーロッパ圏で熱心に研究・発展されてきた。

 錬金術とは卑金属を金属に、さらにいえば黄金に錬成することを目的として知られているがこれは狭義的な意味合いとしてでしかない。より広義には人間や魂をより完全なものにすること、 完全な物質を作り出すことを目的として研究されてきた。あらゆる卑金属は金属へと「成長」していくと考えれており、黄金は成長した金属の最終地点とされる。

 第一資料(プリマ・マテリア)というあらゆる物質の素である混沌物質から「原質」と呼ばれる硫黄・塩・水銀に別れる。そこから西洋の四大元素(火・水・土・風)説へと行き着くとされる。

 錬成、または変成と呼ばれる行為については主に蒸留器などを用いて熱の度合い、熱し方によって物質を変えられると考えていたとされる。この研究の過程において現代でも化学実験で用いられる器具や合成金属が生まれたとされる。

 又、四大元素については4つの性質によって成り立っていると考えられてきました。すなわち湿・乾・温・寒の4つ。様々な思想によって育まれ、物理的実験によって成長してきた学問といえる。

 荒廃のマギカ内においては科学分野と合わさり、より多面的な学問になっている。呪力や魔術というこれまで空想上のものでしかなかった理論が出てきたことにより、新しい物質なども発見されている。そのため日夜研究が行われています。研究の過程で生じた物質やアイテムは一般の家庭でも使われています。

 

●ドルイド教

  紀元前1世紀より以前からヨーロッパ西部に渡って存在していたとされる宗教。主にケルト人が崇拝していたとされる宗教であり、樫の木や泉を神聖視していたとされる。別名樫の木の賢者ともいわれ、ドルイド僧の知識は政治や医学まで幅広く活用されていた。その力は空を飛んだり、妖精を操ったりと現代まで続く「魔法使い」のイメージの基といってもいい。実際の伝承・お伽噺に登場する魔法使いの多くはドルイドであると云われている。

又、死生観として輪廻転生が説かれておりケルト人の戦士たちは戦場で死しても再び蘇ると信じていた。

 ドルイド僧といっても役職が様々に分かれている。

 ドルイド:最高位の立場であり、宗教的指導者であり政を回す役割を担っていました。

  ヴァテス:ドルイドに次ぐ立場であり、占いを専門にしていたとされる。

 フィーレ又はバード:ヴァテスに次ぐ立場であり、語り部・吟遊詩人とされる。仕事内容は多岐に渡り、預言者や指導者への助言、契約の証人などを行っていた。特にその中でも「詩」を作ることは重要とされており、彼らが王を湛えればその国は反映し、風刺すれば廃れるほどに力を持っていたとされる。ケルト神話でもしばしばその風刺によって英雄までもが苦しめられていた。

 荒廃のマギカ内においてはヨーロッパ全域の森に点在して小規模なコミュニティを形成して生活している。近代的な暮らしに忌避感を覚えた者たちが多く、中世以前の前時代的な暮らしをしている人々が多い。ただしドルイドたちの持つ魔術や見識はしばしば他の組織を圧倒していることもあり、国際魔術連盟の役人が話を聞きに行くこともある。基本的に戦闘は避ける傾向にあり、平和な暮らしを望んでいる。又、キリスト教により迫害されてきた歴史から現在も良好な関係とは言えない状況にある。

 

●混沌魔術(ケイオス・マジック)

 1976年にアメリカ合衆国・デッドフォードで発祥した魔術体系。それまでの歴史上で生まれてきたあらゆる魔術とは根本から異なる魔術であり、「理論・思想を他の分野から流用してくみ上げ、自身で術を制作し実践する」という。実践的であることが重要視されており、流用する分野は魔術・宗教だけにとどまらず科学や哲学といったものにまで手を伸ばしている。その行為をケイオスマジシャン自ら「魔術的パラダイムシフト」と呼称している。自身で試行することが求められているため、師弟であってもその術理が異なることも多いという。その過激ともいえる思想から他の魔術結社から倫理的問題を指摘されていたが、時代に伴ってより洗練されてきたといわれている。

 「何も真実ではない、全ては許されている」という中世ペルシアに実在したアサシン教団教祖・ハサン=ザッバーフの言葉が根本の考え方として挙げられる。「真に客観的心理など存在せず、故にあらゆることは真実であり可能である」という解釈がある。

 それまでの宗教・魔術とは異なり、ただ信仰・信念といったものを受動的に無意識に信じ込むだけでなく自らの意志によって意識的に利用する、ツールとして磨き続けている。

 荒廃のマギカ内においても現代から続く、理論的・実践的魔術であることから信者が多い。自分の素養や信心によって形を自由に組み替えられる魔術として人気を博しており、傭兵の多くがこの魔術を学んでいる。ただし魔術の理念が異質であることや魔術を純然たるツールとしてしか見ていないことから他の宗教・魔術組織からは軽んじられる傾向にある。

  

●魔女宗(ウィッチクラフト)

  原始呪術やまじない、ハーブを用いた生薬などの総括。西欧に伝わる土着文化の色が強く、オイル(香油)を持ちいた魔術やキャンドルを使用した儀式などがある。現代まで続くオカルトのイメージを印象付けているとされる。現代ではウィッカと言い、再び着目されている。怪しい魔術的儀式だけでなく、オイルやキャンドルにおいてはその香りによるリラックス効果、ハーブを用いた薬など科学的な効能も見直されている。又、守り石といった鉱石に纏わるまじないといったものもウィッチクラフトに分類されるといえる。

 過去西洋で行われていた魔女狩りに代表されるように、魔女は悪しきものとして多くの人々が処刑された。媚薬を用いた儀式なども行われていたためとされるが、それを同じく民間に即して治療を施す薬師の役割もあったとされる。紆余曲折を経て現代まで強く信奉されている宗教・魔術の1つといえる。

 荒廃のマギカ内においても民間に寄り添った姿勢から多くの信者がいる。実践しやすく、効能見えやすいまじないは特に人気がある。又、その生薬技術を始めとして荒廃した世界における医療面の復興に尽力している。なお魔女宗と云われているが女性だけでなく男性の魔女も多く存在している。怪しげな魔術を使う者をまとめて「魔女」と呼称する。

 

●吸血鬼(ヴァンパイア)

  世界各国に古くからある血を吸う化け物の総称。古代バビロニアより以前からあったとされる。死したはずの生命が蘇り、生命の根源たる血を吸って生き永らえる化け物を指すことが多い。現代における一般的な吸血鬼のイメージは作家ブラム・ストーカー著作「ドラキュラ」がほとんどを占めているといっても過言ではないが、吸血鬼なる化け物の伝承・伝説は古くから存在している。ヨーロッパ圏においては血肉を喰らう人狼伝説が発展した結果との説もある。その他古くなった物が魂を得て成ったり、収穫されなかった作物が怨念を得て成るという半ば日本における付喪神のような描かれ方をしていることもある。

 ただし血を吸う行為はそれそのものよりも、生命の源たる精気を奪い取るという意味合いが強い。そしてしばしば吸血鬼が血肉を喰らうことから「血を吸う」化け物の伝承が語り継がれてきたとされる。

 荒廃のマギカ内においては龍脈の影響により体組織が変化し、精気を喰らう化け物となっている。数そのものは少数だが理性を失わなかった者の多くが霊脈にとどまり 人と関わらない生活を送っているとされる。ヨーロッパ圏においては逆にドラキュラに着想を得た者達が旧支配階級を真似て貴族然とした生活を送っているところも存在している。彼らは人間から搾取することのみを生きがいとしており、またそんな彼らのみを標的とした「吸血鬼ハンター」も一定数そんざいしている。特にスラヴ圏では古くから存在している吸血鬼ハンターの伝承「クルースニク」に似た者もいるとされる。

 

●亜人(デミ・ヒューマン)

  世界各国に古くから存在している獣と人の要素を持つ者や人間に近しい異なる生命体の総称。これも古代から形を変えて様々な土地で語り継がれている。上述の吸血鬼もここに厳密にはここに分類される。起源としては動物の皮や血肉を喰らうことで食べた者の力を得る思想からきている説もある。

 荒廃のマギカ内においては龍脈の影響により体組織が変化した者達を総括して亜人と呼称する。人狼や人魚を始めとして巨人や半人半妖のような者達もここに分類される。災害後の世界で現れた新しい種族と言えるが、国際魔術連盟などの文化圏ではある程度認められているが、人権についてまだ確立しているとは言い難い。さらに亜人の中には自身らを進化した者達として人間を支配又は搾取する者達も存在しているため両者の溝は深まるばかりである。

 亜人の中でも特に勢力として強いのが「人狼」である。人狼に成った者達は亜人の中でも多い。古くから伝承の中で恐れられてきた彼らにとって人間はただの狩りの対象でしかない。中には人間と良好な関係を築く者もいるがごく少数であるといえる。

 

●邪視(イーヴル・アイ)

 魔眼、邪眼ともいわれる民間伝承の1つ。対象を悪意を以って睨み付けることで呪いをかける。有名なところでいえばギリシア神話のメドゥーサが持つ見た者を石のようにする「石化の邪視」がある。南ヨーロッパや中東においては青い目を持つ者が邪視の力を得るとされていたように稀有な目の色をしていたものは恐れられていたという。見ただけで対象を問わず呪える邪視だが、それと同時に邪視除けの魔術やまじないも数多く存在している。邪視除けの護符や印、それ以外にも邪視を持つ者は不浄を嫌う性質があるとされ汚物や陰部をみせると逃げるともいわれている。

 荒廃のマギカ内においては亜人や吸血鬼と同じく龍脈の影響により「眼」が変化した者達。魔術を学んだ結果、邪視に至る者もそれなりの数いるが、純粋な邪視持ちは希少といっても過言ではない。彼らは数多くの邪視の伝承をその眼に宿しているとされる。見ただけで他者を容易く呪うことのできる彼らは常に迫害の的にされている。亜人や吸血鬼と異なり、存在しているだけで害をもたらすとされておりどの文化圏においても忌み嫌われている。ただし魔術師たちからは保護の対象とされており、幸運にも生かされたまま親に捨てられた結果魔術結社に身を置く者もいる。

 

●機械人形(オートマタ)

  18世紀から19世紀にかけてヨーロッパで作られた自動人形。「人間が触れることなく自動で動く人形」という考え自体は古く、ユダヤのゴーレムやギリシア神話のタロスにも描かれている。

 ゼンマイ仕掛けの人形としては18世紀の発明家ジャック・ド・ヴォーカンソンがアヒルの人形を作ったことが近代におけるオートマタの発祥とされる。絵画を描く、楽器を弾くなど機能はさまざまであるがそのどれもが美術的価値に重きを置いたものが多い。日本でも「からくり人形」として書道をしたり、弓を射るといったものも存在している。中にはお茶を運ぶ役割を持たせた人形もいる。

 文明の発展により電気製品が現れ出してからはオートマタの需要は減少していく。現代においてはロボットがその位置に取り変わったといってもよいだろう。ただしゼンマイ仕掛けで人のように動く不気味さやレトロイズムに神秘性を見出した者も多くおり、小説や歌劇ではしばし魂を持った人形の話も書かれている。

 荒廃のマギカ内においてはより広義的に「自意識を持ち稼働する人形」全般を指す。西洋のオートマタや日本のからくり人形が最も数が多くポピュラー。そのほかにも龍脈の影響により魂を得たビスクドールや浄瑠璃人形といった稼働機構を持たず呪力によって動く人形も災害後の世界ではオートマタと呼ばれている。彼らの多くは人に作られたことから「人に仕えたい」という奉仕欲求がある。自身たちをよりよく使ってほしい、人間的な暮らしをしたいと考える人形もいる。実際にオートマタと婚姻した例も確認されている。ただし災害以前より雑な扱われ方をしてきた人形については恨み辛みによって荒御魂となったケースもある。